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幻想住人録

 

しりとりゲームROUND2

 

 

ある国のお偉いさんが思いました。

 

平和ってなんだっけ。

 

 

南の国の偉い人が思いました。

 

豊かさという言語を何の戸惑いも無しに使える事じゃないかな。

 

寒い国の王様が思いました。

 

じゃあもっと平和になりたい。豊かでありたい。

 

みんな、みぃんな思いました。

 

ならば始めよう。

うん、そうしよう。

 

 

 

 

始めはアメリカさんでした。

日本の一番偉い人に、ホットラインでご連絡がいきます。

アメリカさん「やあ、日本くん。最近どうだい」

日本くん「景気の復興に見込みがつきません、アメリカさんはどうですか?」

アメリカさん「うーん、景気はぼちぼちなんだがね。どうにもねぇ」

日本くん「どうにも・・・なんですか?」

アメリカさん「ヒマなんだよ。とってもヒマなんだ。最近、国家会談もぜんぜんないし。ケツかの理由もないから戦もなし」

日本くん「景気がイイだけでいいじゃないですか」

アメリカさん「日本くん、もったいないよ。君は今までチャンスを逃し続けているのをわからないのかい?外にはこんなにたくさんのチャンスが転がっているじゃないか」

日本くん「すいません、中の事で精一杯です。で、外にあるチャンスとは?」

アメリカさん「他の国だよ。いい資源がたくさん周りには転がっているじゃないか」

日本くん「無理ですよ。おたくのように武力があるわけではありませんし・・・。こちらの軍事情は名の通り自分達の国を守り続けるだけでいっぱいいっぱいです・・・まあ、最近ではそれにもあまり自信はありませんがね」

 

アメリカさん「よし、戦争しようか」

日本くん「え?」

アメリカさん「戦争だよ。それで一気に国が豊かになるチャンスができる」

日本くん「軍事力ではどこの国もおたくにはかなわないんです。さっきもいったでしょう?うちは行政改革だけでヒ−ヒ−いってますよ。合理化・効率化・適正化という言葉を聞いただけで吐き気がしますよ」

アメリカさん「ちぇ、あいかわらず頭でっかちな政府を抱えているね。ねえ、やろーよ。やってみないとわかんないよ。戦争は小さい国だから弱い、大きい国だから強い・・・そういう問題じゃあないんだよ。国家の大きさを軍事の大きさと考えるなんて、愚の骨頂さ。ね、世界中入り交じってさ、楽しくやろうよ」

日本くん「あ、では・・・日本が戦争のルールを決めてもよろしいかな」

アメリカさん「・・・ほお、いいよいいよ」

 

日本くん「じゃあ・・・しりとりにしましょう」

 

アメリカさん「シリ・・・トリ?」

日本くん「シリとはヒップちゃんです」

アメリカさん「・・・ヒップちゃん」

日本くん「取るは・・そうですね・・・takeかな」

アメリカさん「ワタシニそういう趣味はないよ・・・すまないが」

日本くん「違うんです。・・・まあ、簡単にいえば言葉遊びなんです。ん−、アメリカさんにはないかなぁ。・・・えーとね、前に発された言葉の最後の音を次の人が語頭に持ってきて単語を作り、それを続ける遊びなんですよ。例えば、アメリカ・・カ・・・カリフォルニア・・ア・・・アラスカ・・・・カナダ・・・・というように」

アメリカさん「ふーん、よくわからないけど。でもなんだか面白そうだね。血を流さず、私達国の頭が国家の運命を言葉だけで操るわけだな」

日本くん「操る・・・正しくありませんね。操られるんですよ・・・言葉に」

アメリカさん「・・・おもしろい。詳しいルールを送ってくれ。確認次第全世界の国のヘッドに送ろう。第三次世界大戦は言葉の国取りゲームか、退屈な日々が少しは面白くなりそうだよ」

日本くん「毎日辞書を熟読する事をおすすめしますよ」

 

 

 

 

血を流す国取りゴッコはもう飽き飽き。

楽しく智恵を絞って、ゲームに優勝して地球の王を目指そう!!

ゲームの簡単な説明は↓

 

 

ルール

前の国の使った言葉の、最後の音を頭に持ってきた語を作る。これを順番に続ける。

使った言葉のものを実際に国から無くさねばならない。

 

このゲームで使用する尻取り言葉は「国の大切なもの」。

ゲームでは自国の言葉で使用する。(例.日本だと金、アメリカさんならゴールド.という具合。)

このゲームで使用した用語は、自国から排除・撤去しなくてはならない。

あまり得点をかせごうと急げば、自国は様々なものの不足により自滅する事になる。

(例「森林」といえば、自国の森林を全て伐採せねばならない。東京タワーといえば、それを壊さなくてはならない。誰が考えても森林伐採を先に使う事は今後の不利に繋がる事がわかるだろう)

つまり、いかにして得点をかせぎつつ、国に痛手のない言葉をゲームに使用するかである。

次の順番の国は前に発せられた言葉の最後の音を頭に持つ言葉を使う事が原則。

発言する言葉を間違えれば減点処置。

禁止ワードは最後に「ん」の付く言葉。理由。有利・不利な国がでる為。

また、ゲームを開始してから、ゲームに使用する目的で国の重要物を新しく作る事は禁止。原則として、優勝国が決まるまで、参加国は新しい国家活動、現在進行中のプロジェクトなども停止する。新法案を提議する事も許されない。国家現状を維持した状態でゲームは続けられる。

 

最初に国に与えられるカントリーライフ【国の生命】は100。これはゲームのチップと同じもので、このカントリーライフの増減が国を活性化させるか衰退化させるかを左右する。

得点をかせいで1000点になれば、一回このゲームを休む事ができる。つまり、順番が廻ってきても何も捨てなくていい時ができるという事。ただし、一度使用したらまた100に戻る。1000以上ためても一回休みをしたら全て消去されるので注意。

 

得点

国にとって重要視されるもの程得点は高く、その得点は国同士のホットライン会議で議決される。

逆にマイナス点となるものは国にとって不必要なもの。この減点も会議によって決める。

 

 

ゲームの順番は一年毎にランダムに変更される。(コンピューターが決める)

発言したものを国から排除・撤去する期間は一ヶ月。

 

ペナルティ

間違った国語を使用する。マイナス50

国に現在ないものを使用する。マイナス50。

使用する目的で、重要文化財、新法案、新施設などを新しく作らない。ただし、何かを使用した為に法を改正しなくてはならないやむおえない場合は、その状況によって許される事もある。会議により減点数は決められる。

語尾に「ん」、それに似た発音をする語を使用する。マイナス100。他国の発音などは自分の国で販売されている辞書を参照の上で判断。

時間切れ。三日間。マイナス300。

 

ゲームオーバー

得点がゼロとなる。

発言する国語がない。

 

また、他の事例が出る事も予想される。

ゲームオーバーとなった国の全ての領土、資源、国民をゲーム残留国に平等に配付される。なお、ゲーム終了国から配付されたものは、このゲームに使用してはならない。

 

優勝

世界を支配できる。

国は一つに統一され、敗残国の資源、領土、国民の用途は自由。

その権利は100年。

 

 

「良く考えて言葉を選んだ方がいい・・・。自分のナイフが自分の肌、いや、家族を傷つけると考えて慎重に。・・・・国民という家族をね」

 

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ゲーム開始から2年。

世界中は変わっていた。

まず最初に尻取りゲームに使用されて国からなくなっていったものは記念物や重要文化財だった。欧州、中近東、南アジアにあるドルメン(巨石記念物)はもはや全てがタダの石塊と化していた。

土産物屋にある絵はがきやタペストリーに使われている国家遺産の建築物は、惜しまれながらもすぐに消えた。もう過去の文化を研究する余裕も、その優雅な国のシンボルを眺める心も・・・・入る隙間がない。

無くしたところで、観光地の人間達の仕事がなくなるくらいだ。

 

 

日本もほどなくして奈良の重要文化財が全て消えた。

ベネルックス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)はその協力体制をさらに強く高め、お互いの国害にならないように常に三か国会議を行っている。無駄な事だ。

最後には一つの国しか残らないのに。

1年前には面白いものがイタリアからなくなった。

インターナショナル・フィルム・フェスティバル・・・・ベネチア国際映画祭である。

国際的なこのイベントは全国の映画制作者の夢の舞台だった。

ただ、国は映画という妄産物映像(今ではほとんどがフィクションだ)の制作者の夢の事まで考える余地はない。

世界中の「映画」という映像遺産のクオリティーはこうして低くなっていった。

 

芸術や文化はまっ先に尻取りゲームに使われた。

特に裏技として使われたのは絵画や彫像だ。

作品の一つ一つの名前がこのゲームに使用出来るからだ。ルネサンス美術の代表的作品、システィナ礼拝堂の天井画「創世記」や壁画「最後の晩餐」(もちろん邦名ではない)は特に得点が高く、ミケランジェロという人物はこんな形でその国を一時的に救う結果となった。・・・もちろん作品に全てペンキを上塗りされてしまったが。

 

次になくなっていったのは意外にも教育システムだ。

学校と名の付くものはすべてなくなった。

こうして、時間を持て余した子供達は、昼も夜も関係なく家には帰らなくなった。

そんな子供達が手にした遊び道具は国によって様々だったが、イスラエルではデザートイーグルを手に、若干十代の反政府組織が結成された。

中国では若き黒社会(ヘイシヤーフイ=ヤクザ)、売春、毒品(ドウーピン=麻薬)常用者が勢力範囲を広げ、日本の若者は色鉛筆の数よりも多く色で分けられた都市ギャングがゴキブリのように増えていった。

 

まだゲームは始まったばかりだというのに・・。

 

続く

 

 

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