猫が僕の家にやってきた
猫が僕の家にやってきた。
お姉ちゃんが公園で拾ってきたんだね。
お父さんは困ってたけど、お母さんはなんだが嬉しそう。
飼うの? ねえ、飼うの?
お姉ちゃん良かったね。
黒い猫。小さい猫。
小さいね。
手も小さいね。黒い猫。ねえ、寒い?寒いの?
名前付けていい?
名前つけるの得意なんだよ。
学校のひまわりには「マナザシ」ってつけた。
僕の自転車には「キンイロ」ってつけた。
ねえ、猫の名前つけていいでしょ?
もう決めてるんだ。
「ブル」
目が青いからじゃないよ。
ねえ、触ってみて。
震えてるでしょ。
だから「ブル」なんだ。
犬みたい?だめ?
いい?
やったぁ。
一緒に寝よう「ブル」。
あ、今日はお姉ちゃんと寝るのか。
「ブル」が死んじゃった。
お母さんは病気だって言ってた。
嘘だもん。
お母さん「震えていたでしょ?」だって。
嘘だもん。
知ってるよ僕。
お姉ちゃんが一緒に寝てて体で潰しちゃったんだ。
知ってるよ。
お姉ちゃんのばか。
泣いたって殺したのはお姉ちゃんじゃないか。
ばーか、ばーか。
僕も泣いちゃうよ。
晩御飯食べている時にお姉ちゃんが吐いた。
お母さんはお姉ちゃんを抱きしめて慰めてるみたい。
僕はもう御飯いらないから寝るよ。
「ブル」が来た。
僕のお腹の上に青い目の「ブル」が来た。
ベッドで寝ている僕の上にそっとやってきた。
部屋は暗いから目しかわからないけど、喉がゴロゴロ鳴ってるし、「ブル」だってわかるよ。
知ってるよ。猫ってゴロゴロするんだよね。
あったかい。
ぽかぽかだね。
あれ、どこかでオルゴール鳴ってるよ。
これって、「ブル」好き?
じゃあ、毎晩聞かせてあげるね。
え?うん、いいよ。
「ブル」の頼みだもの。
わかってるよ、本当は僕と寝たかったんだよね。
そうすれば「ブル」は潰れなかったんだよね。
あんなにベロを出す事もないよね。
うん、いいよ、今から起きてやるよ。
明るいね。もう朝だね。「ブル」、また夜にね。
僕は朝御飯食べる時間だよ。
ほら、お母さんが呼んでる。
お母さん、おはようございます。
あれ、どうしてそんな声出すの?何か切ってるんでしょ?危ないですよ。
どうして?あれ、お父さん、なんでそんな顔するの?新聞落ちたよ。
お姉ちゃん、おはよう。もう、朝なのにうるさいなぁ。
え?ははは、お姉ちゃん、逃げるの?
まってよー、ちゃんと見てよ。
お姉ちゃんの為に作ったんだよ。
「ブル」がね、言ってるよ。
「ア・ナ・タ・ノ・タ・メ・ニ」
僕が「ブル」の体で作ったマスク。
僕、一生懸命作ったんだよ。
ほら、僕の鼻の部分が「ブル」の顔だよ。小さいね。でもね、青い目がなくなっちゃったんだ、「ブル」。
ほら、「ブル」手は僕の耳の辺から出てるでしょ?
中身はね、お父さん達が「ブル」を埋めたとこに戻しといたよ。臭かったし。
ちゃんとね、ええと・・・「ブル」の首の辺りかな、ほら、ここに穴開けて僕も見えるようにしているんだ。
「ブル」が教えてくれたんだよ。
こうすれば、僕は「ブル」なんだって。
あれ、お姉ちゃん、震えているの?
あの日の「ブル」みたいだね。
ねえ、見て。
僕の目玉も青くなってきた。
お姉ちゃんまで青く見えますよ。
終