びろーん
読み=【ビローン】
スペル=【】
別名=【塗仏】
種別=【妖怪】
使用する力=【尻尾でなでる】
持ち物=【なし】
出身=【日本】
全身がコンニャクのようにぶよぶよして長い尻尾があり、その尻尾で人間の首筋に触り気持ち悪くさせるが、「仏様にいうぞ!」というと逃げ出す。
もともと「塗仏」という妖怪であったが、「びろびろびろーん」という呪文で仏になろうとして、罰をくらい、一級下の妖怪になったという。
また、変身に失敗してこのような姿になったという。
弱点は塩で、かけると消えてなくなるという。
ナメクジのような容姿から塩が弱点だと考えたとしてもいいだろう。
この名称も姿形の雰囲気で付けられた可能性が高いが、この名前に近い言葉を探して考えてみると、どちらにしろ良い意味がない。
「びろー」は愛媛・高知などで食い意地の汚い事。
これから考えれば、仏に化けてお供物をすくねようとしているこの妖怪の性格が伝わってくる。
長野では「ぼろきれ」の事をいい、これもあまりいい意味がない。
この絵からしても、使われた「ぼろ雑巾」が掛けられて固まったまま、形をとどめているようにも思える。
「びろ」という言葉は「べろ」などとも呼ばれ、青森・秋田では涎の事をいう。
また、「尾籠(びろう)」は猥褻や不潔な事であり、人前で口にするのもはばかられる事である。失礼で無礼な事でもある。
この妖怪の仏を侮辱した失礼な行為が、湿気た場所でしか住めない「なめくじ」のような妖怪にして変える、という罰を呼んでしまったのではないだろうか?
「なめくじに塩」という言葉があるが、これは苦手なものに遭遇してすっかり萎縮んでしまう事である。
「びろーん」とだらしなく伸び切ったこの妖怪には、塩はうってつけの攻撃なのである。
似た妖怪に「はらだし」がいる。
佐藤有文氏の著書に載っているこの妖怪は、楽しげに踊る妖怪で、「びろーん」の容姿とは対極的である。
この「びろーん」は佐藤有文氏の著書だけに見られる妖怪だが、詳しい事は不明。
この妖怪の資料は、作者本人の語るところではどこかへ紛失したという。
どうやら「塗仏」という名前がこの絵には題されているようだが、なぜか「びろーん」と呼ばれ、数々の疑問を妖怪研究家に投げかけている。
出典
『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』 佐藤有文 立風書房
『妖怪大図鑑』 佐藤有文/著 小学館
『妖怪馬鹿』 京極夏彦/多田克己/村上健司 新潮文庫