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赤い口

 

 

 

まばらな明かりの団地。

夜の公園。

月はない。

音もない。

今、すぐ横に、街灯がある。

あなたの右手は、すぐ横の街灯の冷たい感触を感じている。

左手の指の隙間から、ぬめぬめとした空気がすり抜けていく。

 

ぬめぬめした空気は、この夜に、あなたの全身を縁取る。

 

数m先の公園のブランコ。

一人の女の子が座っている。

揺れない。

揺れていない。

だから音はない。

ただ、座っている。

あなたは視線を公園のベンチに。

寝ているのは浮浪者。

母親ではない。

音がした。

新聞紙ががさつく音がする。風の仕業だ。

 

 

視線をブランコに戻す。

女の子は目の前に立っていた。

おかっぱ頭の、腫れぼったい目をした、薄い眉毛の。

リアルな幼女。

 

「ねえ」

幼女はリアルな声であなたへ話し掛ける。

 

 

 

 

 

「私の口」

 

 

 

 

 

「すごく赤いの」

 

 

 

 

幼女は濁った瞳で、口をあり得ない程、開く。

 

幼い女の口は、、、、

 

 

 

口の中は、、、本当に、、、

 

 

 

本当に真っ赤だった。

 

 

 

本当に、どんな赤よりも。

 

 

 

真っ赤だったのだ!

 

 

 

 

 

 

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